ーー自己紹介をお願いします。
大和祐介です。
福岡大学の工学部電子情報工学科を卒業後、名古屋大学大学院情報学研究科にて修士課程を終了しました。現在は博士課程5年です。昨年からインターンとして入っていたPictoriaに、社会人学生として今年度から入社しました。
ーー大学・大学院で学んでいたことについてお聞かせください。
複雑系・人工生命の研究室に所属していました。※
元々ヒトの知性に興味があり、ヒト等に特有な認知能力である「メタ記憶・メタ認知」を対象に構成論的方法で、その進化過程や神経基盤について研究しました(しています)。
現在は社会人としての経験をしつつ、研究を進めています。
※複雑系…〘名〙 (complex system の訳語) 多くの要素が複雑に絡み合って成り立っているシステム。従来の要素還元の方法ではとらえられない経済・生命・地球環境などのシステムのこと。(精選版 日本国語大辞典より)
ーーPictoriaに入社したきっかけを教えてください。
2023年冬ごろ、AIエンジニア界隈でAITuberが盛り上がりを見せたとき、自分でもAITuberを作ってみていました。実際に運営に取り組んだことで、その当時のAIキャラクターの限界を知ることになるんですけど。
しかし一方で、技術が進歩すればもっと幅広いことができそうだという可能性も強く感じたんです。
「今ここを生きている知性」を到来させるのであれば、実用的な面を重視しがちなビックテックよりも、エンタメの世界のほうが面白いだろうと。
人々にとって身近なエンタメが、社会全体のAIの捉え方を変えるかもしれないという期待を持ったんですね。
そこでまず、黎明期からAITuberを運営していたエンタメの企業であるPictoriaにアポをとり、インターン生として仕事を始めました。
インターンを通じても志望度は変わらず、内定もいただけたので入社を決めました。
入ってみると、ゲーム業界やアカデミックなど幅広く著名な方と話す機会が多くて、この業界に寄せられている期待というものを強く感じることができて楽しいです。
ーーPictoriaではどういった業務を担当されているんですか?
LLM(大規模言語モデル)調査と環境整備を主に担当しています。
現在進行形の話をすると、Mac Studio上でローカルLLMを動作させ、配信に利用している外部サービス依存を緩和するための取り組みを行なっているところです。
安定した稼働やコスト削減を実現するには独立した自社システムが必要になってきますし、ゆくゆくはPictoriaならではのユニークな発話ができるAIキャラクターを作っていきたいので、この業務には力を入れています。
あとは、「てぇてぇ」の言語化・定式化を目指して研究中です。
ーー「てぇてぇ」とは「尊い」が訛ったもので、VTuber、キャラクター、アイドルなどのファンが推しを讃える時によく使う言葉ですね。その「てぇてぇ」を定式化する、というのは、一体どういうことなんでしょうか?
「てぇてぇ」を定式化することによって、より深いキャラクター造形や分析に役立てることができるんです。ゆくゆくはAIキャラクター同士にも「てぇてぇ」の可能性を広げられると考えています。
ただ本質を語れるほどよく分かってはいなかったので、まずは理解するところからスタートしています。
具体的にはひとまずアニメや漫画に描かれている関係性などから「てぇてぇ」に似たものを探したり、異なるものと比較したりして対象化・言語化しています。
また、試しにPictoria社内で「てぇてぇとは?」「どういうものがてぇてぇ?」を集めてみると、実に様々な意見が出てきました。例えば、
などなど。
どの方も熱心に言語化をしてくれ、彼らなりの「好き」がすごく伝わってきました。「てぇてぇ」の感じ方は人それぞれであることがよく分かります。
ーー社内調査を通じて分かった、Pictoriaの社風や社員の雰囲気とは?
この会社には、自分の好きなカルチャーに対して、「どこが好きなのか」「なぜ好きなのか」について理解している人がバラエティ豊かに所属しているということがよく分かりました。
次世代のカルチャーを創ろうとしている会社の中に、各々好きなカルチャーに真摯に向き合ってきた人達が集まっている。これはエンタメ企業としての大きな強みですよね。
ーーPictoriaの職場環境について教えてください。
自分は社会人1年目、かつ今年の4月に入社したばかりではありますが、素晴らしい環境だと思います。
少人数ながらも様々なバックグラウンドや考えを持つ人が一緒に働いていて、社内でナレッジを得られるのは嬉しいですね。
先ほども言及した「てぇてぇ」議論もそうですが、最新技術やエンタメのニュースに関してオープンに議論が交わされている様子はよい刺激になっています。
ーーどういう人と一緒に仕事がしたいですか?
技術でもエンタメでも何か一つ強い興味を持っていて、それを無限に話せるような人と仕事をしたいですね。
一人一人の知見が集合知として発揮されれば会社の強みになるし、その人を通して知らない世界を知れるというのも個人的にはありがたいポイントです。
ーーありがとうございました!